経団連が夫婦別姓制度導入を提言 企業の海外ビジネスリスク回避へ

経済界の影響力のある団体である経団連が、夫婦別姓制度の導入を求める提言を公表しました。これは、グローバル化が進む中で、日本独自の通称使用がビジネス上のリスクになりうるという指摘からです。

経団連が夫婦別姓制度導入を提言

経団連は以下の点を指摘しています。

  • 日本は世界で唯一、法律で夫婦の姓を統一することを義務付けている。
  • しかし、改姓後も旧姓を職場で使う「通称使用」が広がっている。
  • 海外では通称使用が理解されにくく、企業のビジネスリスクになる。
  • 海外出張時に通称と身分証の氏名が異なり、立ち入りを拒否されるトラブルが多発。

経団連は、政府に対し民法改正案を国会に早期提出するよう求めています。経済界の意向を強く反映した異例の提言となりました。

日本の夫婦同姓制度は世界で異例

日本の民法では、結婚に際して夫婦が同姓を選択することが義務付けられています。これは世界的に見ても極めて異例の制度です。多くの国では、夫婦がそれぞれの姓を名乗ることが認められています。

日本の同姓制度は、戸主制度に由来する旧来の価値観に基づいています。しかし、近年の男女共同参画社会の進展に伴い、この制度への疑問の声が高まっています。特に、結婚後に改姓を余儀なくされる女性から、キャリアや社会的評価への影響を危惧する意見が出ています。

企業が直面する通称使用のリスク

現状では、改姓後も旧姓を職場で使い続ける「通称使用」が広く行われています。しかし、この慣行が海外では理解されにくく、企業が様々なリスクに直面しています。

例えば、海外出張時に大使館やセキュリティの厳しい企業を訪問する際、通称が記された名簿と公的な身分証の氏名が異なることで立ち入りを拒否されるトラブルが多発しているそうです。このような事態は、企業のビジネス活動に大きな支障をきたします。

グローバル化が進む中での課題

日本企業のグローバル化が進展する中で、このような通称使用の問題は看過できない課題となっています。経団連は、女性の活躍推進に伴い、この問題が「企業にとってもビジネス上のリスクになりえる」と警鐘を鳴らしました。

国際的なビジネス活動において、日本独自の慣行が障壁となり、企業が不利益を被るリスクがあるというわけです。経団連は、この問題を解決するため、選択的夫婦別姓制度の導入を求めているのです。

経済界の意向を反映した異例の提言

経団連の今回の提言は、経団連会長および副会長らの協議を経て機関決定されたものです。経済界の意見をとりまとめる経団連が、これまで法人税率引き下げなどの経済政策を中心に提言してきた中で、家族法制の見直しに踏み込んだのは異例の動きと言えます。

経団連は、政府に対し民法改正案を国会に「一刻も早く提出」するよう求めています。経済界の強い意向が反映された提言となり、政府への影響力が注目されます。

まとめ

経団連が夫婦別姓制度の導入を求める提言を公表したことで、日本の同姓制度を見直す機運が高まるかもしれません。グローバル化が進展する中で、日本独自の慣行が企業のビジネスリスクになりかねないという指摘は重く受け止められるべきでしょう。経済界の意向を反映したこの提言が、法改正に向けた議論を後押しすることが期待されます。